食物繊維を無理なく取り入れる。身近な和食でつくる一食

「体のために、食物繊維を意識したほうがよい」と分かっていても、毎日の食事で何を選べばよいのか迷うことはありませんか。
食物繊維は、特別な健康食品だけに含まれるものではありません。穀類や豆類、野菜、きのこ、海藻、果物など、身近な食品から取り入れられます。
大切なのは、食物繊維の多い食品を一度にたくさん食べることではなく、いつもの食事に少しずつ組み合わせること。今回は、食物繊維の基本と、日々の食卓に取り入れやすい和の献立をご紹介します。
食物繊維とは?
食物繊維は、人の消化酵素では消化されにくく、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く食品成分です。
一般的には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に分けられます。ただし、日常の食事で二つを細かく計算する必要はありません。
穀類、豆類、野菜、きのこ、海藻、果物など、異なる食品を組み合わせることで、さまざまな種類の食物繊維を取り入れやすくなります。
食物繊維というと、便通を整える働きがよく知られていますが、それだけではありません。食後の血糖値の上昇を穏やかにすることや、血液中のコレステロール濃度を低下させることにも関わるとされています。
更年期世代が食物繊維を意識したい理由
更年期を迎えたからといって、急に大量の食物繊維が必要になるわけではありません。しかし、年齢を重ねても健やかな食生活を続けるために、食物繊維は意識したい栄養素の一つです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳の女性に対する食物繊維の目標量は、1日18g以上とされています。ただし、この数字を毎日厳密に計算する必要はありません。

まずは自分の食事を振り返り、穀類や野菜、豆類などをほとんど食べていない日が続いていないか確認してみることが一つの方法です。
忙しい日が続くと、パンや麺類だけで食事を済ませたり、主食を控える一方で、野菜や豆類も十分に食べられていなかったりすることがあります。食物繊維だけに注目するのではなく、主食、主菜、副菜を含めた食事全体を見ることが大切です。
食物繊維を含む身近な食品
食物繊維は、いつものスーパーで購入できる食品にも含まれています。
穀類
もち麦、玄米、オートミール、全粒粉パンなどが挙げられます。
毎日すべての主食を替える必要はありません。白米にもち麦を少し混ぜるなど、食べやすい方法から始めてもよいでしょう。
豆類・大豆製品
大豆、蒸し大豆、納豆、おから、あずきなどにも食物繊維が含まれています。
納豆や市販の蒸し大豆は調理の手間が少なく、忙しい日にも取り入れやすい食品です。
野菜
ごぼう、にんじん、ブロッコリー、かぼちゃ、切り干し大根など、さまざまな野菜から摂取できます。
一つの野菜だけを大量に食べるより、季節や好みに合わせて複数の野菜を組み合わせると、食事にも変化が生まれます。
きのこ
しめじ、しいたけ、えのき、まいたけなどは、味噌汁や炒め物、炊き込みごはんにも使いやすい食材です。
包丁を使わずに手でほぐせるものも多く、料理の負担を増やさずに加えられます。
海藻
わかめ、ひじき、のり、昆布などにも食物繊維が含まれます。
乾燥わかめや焼きのりを常備しておくと、汁物や副菜に少量加えたいときに便利です。
果物
りんご、キウイフルーツ、みかんなどの果物からも食物繊維を取り入れられます。
間食や朝食に加えるなど、自分の生活に合ったタイミングで楽しむ方法もあります。
一食の中で組み合わせると続けやすい
食物繊維を意識するために、料理の品数を増やしたり、毎回特別なメニューを用意したりする必要はありません。
たとえば、次のような和の献立なら、複数の食品から食物繊維を取り入れられます。
食物繊維を取り入れる和の献立例
- もち麦入りごはん
- 大豆ときのこの具だくさん味噌汁
- わかめときゅうりの酢の物
白米にもち麦を加えることで、いつもの主食を大きく変えずに穀類の選択肢を広げられます。
味噌汁には、大豆、野菜、きのこ、海藻をまとめて入れられます。小鉢にわかめを使えば、さらに別の食材を加えることができます。
毎食この形にそろえる必要はありません。「今日は味噌汁の具を増やす」「明日は納豆を添える」というように、小さな工夫を重ねるほうが続けやすいでしょう。
毎日の食事に無理なく取り入れる4つの工夫

1.主食を少し変えてみる
白米にもち麦や玄米を混ぜる、いつものパンをときどき全粒粉パンに替えるなど、主食から取り入れる方法があります。
食感や風味が苦手な場合は、少量から試してもよいでしょう。
2.汁物の具を一つ増やす
味噌汁やスープを作るときに、きのこ、わかめ、根菜、豆類などを一つ追加します。
一つの料理で複数の食材を食べられるため、品数を増やすより負担が少ない方法です。
3.そのまま使える食品を常備する
納豆、蒸し大豆、乾燥わかめ、冷凍野菜などは、調理に時間をかけられない日の助けになります。
すべてを手作りしようとせず、市販品も上手に使うことが、無理なく続けるためのポイントです。
4.一度に増やしすぎない
食物繊維を急に多く摂ると、人によってはお腹の張りやガス、腹部の不快感などを感じることがあります。
普段あまり食物繊維を摂っていない場合は、体調を見ながら少しずつ増やし、水分も意識してみてください。
毎日の食卓に|大豆ときのこの具だくさん味噌汁
大豆、野菜、きのこ、海藻を一度に取り入れられる、具だくさんの味噌汁です。
この分量で作った場合、食物繊維は1人分あたり約5〜6gが目安です。これは、18〜64歳女性の1日の目標量である18g以上の、およそ3分の1に当たります。
普段の味噌汁と同じように作れるため、特別な調理方法は必要ありません。冷蔵庫にある野菜を使ってアレンジしてもよいでしょう。
材料(2人分)
- 蒸し大豆:50g
- しめじ:1/2パック(約50g)
- にんじん:1/3本(約50g)
- ごぼう:1/3本(約50g)
- 乾燥わかめ:約1g
- だし汁:400ml
- 味噌:大さじ1〜1と1/2
- 小ねぎ:お好みで

作り方
- しめじは石づきを落とし、食べやすい大きさにほぐします。
- にんじんは薄いいちょう切りにし、ごぼうは薄い斜め切りまたはささがきにします。
- 鍋にだし汁、にんじん、ごぼうを入れて中火にかけます。
- 野菜がやわらかくなったら、しめじ、蒸し大豆、乾燥わかめを加えます。
- 具材に火が通ったら火を弱め、味噌を溶き入れます。
- 器に盛り、お好みで小ねぎを添えます。
味噌の量は、使用する味噌の種類や好みに合わせて調整してください。蒸し大豆の代わりに水煮大豆を使うこともできます。
※食物繊維量は食品成分値をもとにした概算です。使用する商品や食材の大きさ、調理方法によって異なります。
食物繊維だけに偏らないことも大切
食物繊維は健やかな食生活を支える栄養素ですが、食物繊維の多い食品だけを食べればよいわけではありません。
肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質源、主食、野菜、適量の脂質なども含め、食事全体を整える視点が大切です。
また、食物繊維の摂り方や合う量には個人差があります。お腹の調子を見ながら、自分にとって無理のない方法を探してみてください。
消化器系の病気がある方や、治療のために食事指導を受けている方は、自己判断で食物繊維を増やさず、医師や管理栄養士に相談してください。
まとめ
食物繊維を意識するために、毎日の献立を大きく変える必要はありません。
ごはんにもち麦を加える、味噌汁の具を一つ増やす、納豆や海藻の小鉢を添える。そんな小さな工夫でも、さまざまな食品から食物繊維を取り入れやすくなります。
食物繊維を含むサプリメントや補助食品を活用する方法もありますが、まずは穀類、豆類、野菜、きのこ、海藻、果物など、普段の食品から取り入れることを基本に考えてみてもよいでしょう。食品からは、食物繊維だけでなく、ビタミンやミネラルなどもあわせて摂ることができます。
数字だけにとらわれず、まずは続けやすい方法を一つ、いつもの食卓に加えてみてはいかがでしょうか。
参考
