更年期に感じる体のにおいの変化。加齢臭との違いと毎日のケア

お気に入りの洋服に着替えるときや、一日の終わりに入浴する前、「以前と汗のにおいが違う気がする」と感じることはありませんか。「自分のケアが足りないのかな」「清潔にしていないと思われたらどうしよう」と、戸惑うこともあるかもしれません。
今回は、口臭とは分けて、汗や皮脂などによって肌や衣類から感じる「体のにおい」について考えていきます。
私たちの体から漂うにおいは、ひとつの理由だけで説明できるものではありません。発汗量、皮脂、衣類、その日の気温や活動量など、さまざまな要因が関係すると言われています。「更年期だから」「加齢臭だから」とひとつの理由に決めつけず、まずは体の中で何が起きているのか、その背景をやさしく見つめてみましょう。
更年期に体のにおいが気になりやすくなる理由
更年期世代が感じるにおいの変化を考えるうえでは、「発汗の変化」と、同じ時期に重なる「加齢による皮脂の変化」を分けて捉えることが大切です。似ているようで、実際には異なる仕組みで起こります。
更年期を迎えると、女性ホルモンの変化にともなって、急にほてったり汗が噴き出したりする「ホットフラッシュ」や、寝汗などの症状が現れることがあります。汗そのものは、かいた直後から強くにおうとは限りません。
ホットフラッシュが起こる仕組みや、日常生活で取り入れられる対策については、こちらの「更年期のホットフラッシュとは?急なほてりや汗との向き合い方」でもご紹介しています。ほてりや発汗に悩んでいる方は、あわせてご覧ください。
汗のにおいは、汗や皮脂などが肌や衣類に残り、皮膚表面の細菌によって分解されることで生じるとされています。一方、加齢臭は、加齢にともなって変化した皮脂の成分が酸化・分解されることで生じます。
加齢によって皮脂の成分が変化すると、「2-ノネナール」と呼ばれるにおい成分が生じることがあります。これは、いわゆる加齢臭に関係する代表的な成分です。加齢臭は男性だけのものと思われがちですが、女性にも起こりうる変化です。
更年期にみられる発汗の変化と、加齢による皮脂の変化は、同じ仕組みで起こるものではありません。ただし、この2つは同じ年代に重なる場合があるため、以前とは違うにおいとして感じられることがあります。
参考:
日本女性医学学会「のぼせ・発汗」
資生堂「資生堂、世界初 ノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見」
「汗のにおい」と「加齢臭」は、同じものではありません
汗をかいたときの一時的なにおいと、加齢による皮脂の変化から生じるにおいは、原因が異なります。
この2つは同じ年代に重なる場合があるため、以前とは違うにおいとして感じられることがあります。自分でにおいの種類を正確に判断するのは難しいため、どちらかに決めつけず、肌と衣類の両方を心地よく保つケアを取り入れてみましょう。
毎日のケアで意識したい4つのこと
においの変化と付き合いながら、毎日をすっきりと心地よく過ごすために、暮らしの中で無理なく取り入れられる4つのセルフケアをご紹介します。

1.汗をかいたままにしない
ホットフラッシュなどによって急に汗をかいたときは、清潔なタオルをやさしく押し当てるようにして水分を取りましょう。
濡れタオルや体臭ケア用の汗拭きシートを使う場合は、肌への刺激がないかを確認しながら取り入れてみてください。汗を多くかいた日は、肌や衣類が湿ったままにならないよう、下着やインナーを取り替えることも、心地よく過ごす助けになります。
外出するときは、替えのインナーや肌当たりのやさしいハンカチなどを用意しておくと安心です。暑さやほてりが気になるときに備えて、冷たいタオルを用意するのもひとつの工夫です。
2.洗いすぎず、やさしく洗う
「におうかもしれない」と思うと、入浴時に強くこすって洗いたくなることもあるかもしれません。しかし、強くこすることは、肌への刺激や乾燥につながる場合があります。
石けんやボディソープは製品の使用方法に沿って使い、手のひらや柔らかい素材で、肌を強くこすらず丁寧に洗いましょう。胸元や背中など、汗や皮脂が残りやすい部分も、泡をなじませるようにしてやさしく洗います。首の後ろや耳のまわりなど、汗が気になる部分も忘れずに洗い流しましょう。
入浴後に乾燥が気になる場合は、肌に合う保湿剤を取り入れます。においが気になるときも、洗うことと肌をいたわることのバランスを大切にしましょう。
更年期世代に起こりやすい全身の乾燥や、うるおいを守るためのケアについては、こちらの「40〜50代に増える全身の乾燥。うるおいを守るためにできること」でもご紹介しています。入浴後の乾燥が気になる方は、あわせてご覧ください。
3.衣類や寝具にも目を向ける
汗や皮脂などは、肌だけでなく、毎日身につける衣類や寝具にも付着します。肌を清潔にしてもにおいが気になるときは、肌に直接触れるものにも目を向けてみましょう。
インナーやパジャマは、通気性や吸湿性などを確認し、自分が快適に過ごせる素材を選びます。枕カバーやシーツなど、寝汗が触れるものも、無理のない頻度で洗濯して清潔に保ちましょう。
においが残っているように感じる場合は、衣類の洗濯表示と洗剤の使用方法を確認したうえで、素材に合った洗い方を取り入れてください。
4.香りで隠しすぎない
気になるにおいを香水や香りの強い柔軟剤で覆おうとすると、もとのにおいと香りが重なり、かえって気になる場合があります。
香りを重ねる前に、まずは「汗をやさしく拭き取る」「肌をこすらずに洗う」「衣類を清潔に保つ」といった基本のケアを見直してみましょう。
制汗剤やデオドラント製品を使用する場合は、製品に表示されている使い方や適量を守ります。肌にかゆみや赤み、刺激などが現れたときは、使用を中止してください。
においの変化を、清潔さだけの問題にしない
体のにおいが変化したからといって、必ずしも清潔さが足りないということではありません。
更年期にみられる発汗の変化に加えて、加齢による皮脂の変化、衣類、その日の気温や活動量など、さまざまな要因が関係します。
周囲の目を気にしすぎて、必要以上にこすり洗いをしたり、人との距離を置いたりする必要はありません。完全な「無臭」を目指すのではなく、自分が心地よく過ごせるケアを見つけていきましょう。
急な変化や強いにおいは、医療機関へ
においは年齢や発汗などによって変化することがありますが、次のような様子がある場合は、我慢せずに専門家へ相談しましょう。
- 体のにおいが短期間で急激に強く変わった
- 暑いわけでもないのに、日常生活に支障が出るほど汗の量が増えた
- 強い動悸、急激な体重の変化、強い疲労感などを伴う
- 肌の赤みやかゆみ、湿疹が続いている
ホットフラッシュなど更年期にともなう症状は婦人科や更年期外来、肌の赤みやかゆみは皮膚科、動悸や強い疲労感など全身の違和感がある場合は内科へ相談する方法があります。
まとめ|変化を知り、心地よく過ごせるケアを

更年期にみられる発汗の変化と、加齢による皮脂の変化は、同じ仕組みで起こるものではありません。ただし、この2つが同じ時期に重なることで、以前とのにおいの違いを感じる場合があります。
汗をかいた肌はやさしく拭き取り、摩擦を避けて丁寧に洗い、衣類や寝具も清潔に保つ。香りで覆う前に、こうした基本のケアを心地よい範囲で続けていきましょう。
急な変化やつらい症状があるときは、我慢せずに医療機関へ相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q1.女性にも加齢臭はありますか?
はい。加齢臭は男性だけのものではなく、女性にも起こりうるとされています。加齢にともなって皮脂の成分が変化し、それが酸化・分解されることで、2-ノネナールなどのにおい成分が生じることがあります。
ただし、においの感じ方や程度には個人差があり、更年期になったからといって、必ず加齢臭が強くなるわけではありません。
Q2.更年期になると、必ず体のにおいが強くなりますか?
いいえ、必ず強くなるわけではありません。においの変化の程度や感じ方には個人差があります。その日の活動量や発汗量、気温、衣類などによっても感じ方は変わります。
Q3.毎日しっかり洗えば、においは気にならなくなりますか?
強くこすって洗うと、肌への刺激や乾燥につながることがあります。石けんやボディソープは製品の使用方法に沿って使い、肌を強くこすらず、やさしく洗いましょう。衣類のケアとあわせて、無理なく続けることが大切です。
Q4.香水やデオドラントで、においをカバーしてもよいですか?
自分が心地よく感じられる範囲で取り入れるのは、ひとつの選択肢です。ただし、汗や皮脂のにおいの上から香りを何度も重ねると、もとのにおいと香りが重なり、かえって気になる場合があります。
まずは汗を拭き取る、肌をやさしく洗う、衣類を清潔に保つといった基本のケアを大切にしたうえで、製品に表示された使い方を守って取り入れましょう。
